SaaS ベンチマークレポート

2,100 社を超える SaaS 企業の分析から見えた成長トレンドと SaaS ベンチマーク

エグゼクティブサマリー

ChartMogul SaaS ベンチマークレポートの第 2 版へようこそ。本レポートでは、2,100 社を超える SaaS 企業の匿名化・集計済みデータを分析し、最新の SaaS ベンチマークと成長トレンドをお届けします。調査からは 4 つの示唆が浮かび上がりました。

  1. 2022 年の SaaS の成長は、ここ数年でもっとも鈍いものでした。驚異的だった 2020 年と 2021 年に比べ、2022 年は大きく減速しました。ARR 100 万〜3,000 万ドルの SaaS 企業の上位四分位は、2022 年に 62.1% 成長しました(2020 年は 93.4%、2021 年は 78.9%)。ただし、楽観できる材料もあります。ARR 100 万ドル超の企業の成長は、2023 年第 1 四半期に加速しました。

  2. 企業は成長のドライバーとして、エクスパンション収益への依存を強めています。獲得 ARR に占めるエクスパンションの割合は、2020 年の 28.8% から現在は 32.3% へ上昇しました。一方、新規ビジネスによる獲得 ARR の割合は 62.0% から 57.9% へ低下しています。

  3. リテンションが成長の重要なドライバーでした。直近 12 か月は、リテンションにとってこれまででもっとも厳しい期間でした。この厳しい環境下で顧客を維持できた企業は、同業他社より少なくとも 1.8 倍速く成長しました。

  4. 5〜6 四半期にわたる低調な成長を経て、新規ビジネス ARR がようやく上向いてきました。芽生えの兆しが見え始めています。ARR 100 万ドル超の企業では、2023 年第 1 四半期に新規ビジネス ARR の成長が上向きました。これが外れ値なのか、より大きなトレンドの一部なのかは、まだ判断が難しいところです。

2023 年版 SaaS ベンチマークレポートは、同僚たちの支えなしには実現しませんでした。このレポートを形にしてくれた Bianca、George、Peter、Rachel、Thomas、Toni に、あらためて感謝します。

敬具

Sid Jain

Sid Jain
Sid は ChartMogul のシニアリサーチアナリストです。SaaS とデータに情熱を注ぎ、購読者 24,000 人を超えるニュースレター The SaaS Roundup を執筆しています。その調査は TechCrunch や FastCompany といった業界の主要メディアで取り上げられています。ChartMogul に加わる前は J.P.Morgan に 7 年間在籍。英国ロンドン在住です。

成長トレンド

2023 年の成長はどうなっているのか

2022 年、SaaS の成長はこの 3 年でもっとも鈍いものでした。 驚異的だった 2020 年と 2021 年のあと、2022 年の SaaS の成長は大きく減速しました。ARR 100 万〜3,000 万ドルの SaaS 企業の上位四分位は、2022 年に 62.1% 成長しました(2020 年は 93.4%、2021 年は 78.9%)。

ARR 成長率チャート 1

成長率の減速は、アーリーステージのスタートアップ(ARR <100 万ドル)でさらに顕著でした。 ARR 100 万ドル未満の SaaS 企業の上位四分位は、直近 12 か月で 139.1% 成長しました。これは、同規模の企業が 2020 年や 2021 年に成長していたペースの半分にすぎません。

ARR 成長率チャート 2

ベストインクラスの SaaS 企業でも、成長率は 2020 年のピークと比べて半減しました

ARR 成長チャート(上位デシル)1 ARR 成長チャート(上位デシル)2

上場 SaaS 企業も成長の減速に見舞われました。 減速はあらゆる規模の企業で起きました。上場 SaaS 企業の上位デシルは 2022 年に 48% 成長(2021 年は 66%)、上位四分位は 2022 年に 39% 成長(2021 年は 54%)でした。

2021 年と 2022 年の上位デシルの成長率比較 2021 年と 2022 年の上位四分位の成長率比較 2021 年と 2022 年の中央値の成長率比較

SaaS 市場には安定化の兆しが見られます。 ARR 100 万ドル超の企業の成長は、2023 年第 1 四半期に加速しました。7 四半期連続で成長率が鈍化したあと、安定化の兆しが現れています。ARR 100 万ドル超の SaaS 企業の上位四分位では、今年の第 1 四半期に成長がわずかに加速しました。これが一時的な安定なのか、外れ値なのか、より大きなトレンドの一部なのかを判断するのは、まだ早すぎます。

前年同期比 ARR 成長チャート 1

新規ビジネスの成長はどうか

ARR 100 万ドル超の企業では、新規ビジネス ARR も上向きました。 2020 年後半から 2021 年前半は、大半の SaaS 企業にとって新規ビジネスの黄金期でした。そこから先の道のりは険しいものでした。ただ、ここ最近は芽生えの兆しが見え始めています。ARR 100 万ドル超の企業では、2023 年第 1 四半期に新規ビジネス ARR が加速しています。

前年同期比 ARR 成長チャート 2

一方、ARR 100 万ドル未満の企業では、2023 年に入っても成長の失速が続いています

前年同期比 ARR 成長チャート 3

アーリーステージの SaaS スタートアップ(ARR <100 万ドル)では、新規ビジネスも低調です。 中央値のアーリーステージスタートアップでは、直近 4 四半期の新規ビジネス ARR は前年同期比で横ばいでした。

前年同期比 ARR 成長チャート 4
Matt Lerner
In today’s market average is losing - or more accurately, median is losing. There is a huge difference between being in the top quartile and being on the median. It’s the same difference between having a very strong business and a very meh business. We certainly saw this when I was a VC. We had around 2,000 companies in our portfolio, but all our fund returns came from the top 5%. Things might have looked better for median companies during the free-spending boom of 2020, but that was the anomaly. 2023 is a lot more typical of long-term economic conditions.
Matt Lerner、元 PayPal、500 Startups VC、Startup Core Strengths 創業者

エクスパンションは成長を牽引しているのか

企業はエクスパンション収益への依存をますます強めています。 エクスパンション収益は増えています。新規ビジネスによる獲得 ARR の割合は、2020 年の 62.0% から現在は 57.9% へ低下しました。対照的に、エクスパンションによる獲得 ARR の割合は 2020 年の 28.8% から現在は 32.3% へ上昇しています。リアクティベーションの構成比は 10% 前後でほぼ横ばいです。

ARR チャート

ベストインクラスのリテンションを持つ企業は、同業他社より少なくとも 1.8 倍速く成長しました。 今の市場では、リテンションが成長の鍵です。ネットリテンション率が 100% を超える SaaS 企業は、直近 12 か月で平均 49.5% 成長しました。一方、ネットリテンションが 60〜80% のレンジの企業は、わずか 9.2% しか成長していません。リテンションが 60% 未満の SaaS 企業の一部が、これほど速く成長できている点にも注目してください。これは、リテンション率は低いものの巨大な市場を持つ、急成長中の B2C 企業だからです。

前年同期比 ARR 成長チャート(リテンション別)

リテンションはこれまででもっとも難しくなりました。SaaS 企業の半数以上が、2022 年にリテンション率の低下を経験しました。 2022 年は、大半の SaaS 企業にとって厳しい年でした。厳しいマクロ経済環境のもとで、顧客は SaaS 支出を見直し、削減しました。ほぼ 70% の企業が前年よりリテンション率を高めた 2021 年とは、対照的な状況です。

リテンションチャート
Peter Walker
There are signs of a venture spring. Valuations in SaaS have ticked up from recent lows. Median round sizes mostly stabilized. But these green shoots were overwhelmed by the decline in total rounds across all stages.
Peter Walker、Carta インサイト責任者

成長ベンチマーク

2023 年の良い成長率とは

SaaS 成長ベンチマーク(ARR 別) SaaS 成長ベンチマーク(ARPA 別)

成長は ARR とどう相関するのか

成長は初期段階のほうが速く、企業が成熟するにつれて成長率は鈍化します。 SaaS スタートアップにとっての良い成長率は、事業のステージによって変わります。成長は事業の初期段階で速く、成熟するにつれて鈍化します。ARR 100 万〜800 万ドルのレンジの企業の上位四分位は、年 70% で成長します。スケール段階(ARR 800 万〜3,000 万ドル)では、上位四分位の企業は年 45% 前後で成長します。

ARR 成長チャート

ベストインクラスの SaaS 企業は、毎年収益を倍にしています。 ARR 100 万〜300 万ドルの SaaS 企業の上位デシルは、年 183% で成長します。ARR 300 万〜800 万ドルのセグメントでは、年 119% です。

ARR 成長チャート 2
Christoph Janz
Even though efficiency is a key factor in whether a startup is more or less exciting for investors, growth is the clear #1 consideration. If you’re at around $8-15 million ARR, you need to grow roughly 2x year-over-year to get investors excited. If you’re below $8 million ARR, you have to grow even faster to get investors to jump out of their seats. That doesn’t mean that you can’t raise at all if you’re growing slower, but it will be more difficult.
Christoph Janz、Point Nine Capital マネージングパートナー

成長のばらつきは初期には大きく、企業が成熟するにつれて安定していきます。 最速で伸びる企業は、他社を何倍も上回る速さで成長します。VC は多くの場合、毎年収益を 2 倍・3 倍にする上位デシルの企業への投資に集中します。

ARR 成長チャート 3

B2B SaaS は B2C より速く成長するのか

アカウント当たり平均収益(ARPA)が高い企業は、平均するとわずかに速く成長する傾向があります。 ARPA が高い企業の中央値は、ARPA が低い企業の中央値より速く成長します。相関は弱いものの、たしかに存在します。

ARR 成長チャート 4

ただし爆発的な成長という点では、B2C が B2B を大きく上回ります。 B2C 企業の上位デシル(通常 ARPA は <25 ドル/月)は、B2B 企業の上位デシル(ARPA >25 ドル/月)よりもはるかに速く成長します。これは市場規模の大きさとバイラリティが一因です。

ARR 成長チャート 5

リテンションベンチマーク

リテンションは、既存の顧客基盤をどれだけうまく維持できているかを示す指標です。ネット収益リテンション率が高ければ、より良い成長を実現し、より資本効率の高い事業を築き、投資家からより高いバリュエーションを得ることにもつながります。

SaaS では、リテンションを 3 つの方法で測定します。

  1. 顧客リテンション — ロゴリテンションとも呼ばれ、一定期間に維持できた顧客の割合を測ります。たとえば初日に顧客が 10 社いたとして、12 か月後にそのうちの何 % が残っているか、ということです。
  2. ネット収益リテンション(NRR) — ネットダラーリテンションとも呼ばれ、一定期間に維持できた収益の割合を測ります。たとえば初日の月次経常収益(MRR)の合計が 10 万ドルだったとして、12 か月後にその収益の何 % が残っているか、ということです。
  3. グロス収益リテンション(GRR) — グロスダラーリテンションとも呼ばれ、一定期間に維持できた収益の割合を、エクスパンションを除いて測ります。たとえば初日の月次経常収益(MRR)の合計が 10 万ドルだったとして、エクスパンションによる寄与を除くと、12 か月後にその収益の何 % が残っているか、ということです。

リテンションはどの期間でも測定できますが、12 か月で測るのが一般的です。12 か月でのリテンション分析は、年次サブスクリプションにも月次サブスクリプションにもうまく機能します。導入からエクスパンションまで顧客ライフサイクル全体を織り込めるうえ、短期的な変動を招く季節性の影響も打ち消せます。

リテンションは常にコホート単位、つまり特定の顧客グループを対象に算出すべきです。年次リテンションの計算式は次のとおりです。

SaaS リテンションの計算式

同じ ARPA レンジの企業には、多くの共通点があります。ARPA はアカウント当たり平均収益、つまり全顧客にわたる月次経常収益の平均です。一般に B2C 企業は、B2B 企業(>25 ドル/月)に比べて ARPA が低くなります(<25 ドル/月)。営業サイクルの長さ、契約期間、割引、オンボーディング、カスタマーサポートの種類、さらにはリテンション戦略まで、すべてが ARPA に左右されます。そのため SaaS 事業のベンチマークは、ARR バンドに加えて ARPA バンドでも行うとよいでしょう。

2023 年の良いリテンション率とは

SaaS リテンションベンチマーク SaaS リテンションベンチマーク 2

NRR >100% はどれくらい一般的なのか

スケール段階の SaaS 企業は、ネットリテンション率 100% 超を目標にすべきです。 良いネットリテンション率の水準は、事業のステージによって変わります。プロダクトマーケットフィット前の段階では、ネットリテンションはたいてい低くなります。SaaS 企業が成長してプロダクトマーケットフィットを見つけると、ネットリテンションは改善します。そしてスケール段階に達し、カテゴリーリーダーになると、ネットリテンションはしばしば 100% を超えます。ベンチマークする際は、常に自社のステージを念頭に置いてください。

収益リテンションチャート
Nick Franklin
In reality, for every B2B SaaS business retention becomes the biggest growth driver in a way. So it is worth focussing on retention really from day one, perhaps even before you actually have any meaningful retention data to look at.
Nick Franklin、ChartMogul 創業者兼 CEO

ベストインクラスのネット収益リテンションは 110% の水準です。 ネットリテンション率が 100% を超えていれば、強いプロダクトマーケットフィットの証であり、既存の顧客基盤から収益を複利で伸ばす力を示すものです。ネットリテンションが 100% を超える企業は、たいてい高いグロスリテンションと強力なエクスパンションループを併せ持っています。

ベストインクラスの収益リテンションチャート

リテンションは B2B と B2C で違うのか

「良い」ネットリテンションの定義は、B2B SaaS と B2C SaaS で大きく異なります。 ARPA が月 1,000 ドルを超える企業の上位四分位は、ネットリテンション 110% 超に達します。一方、B2C 企業、つまり ARPA が月 25 ドル未満の企業の上位四分位は 70% にとどまります。SaaS 企業のグロスリテンションが良いかどうかを判断するときは、必ずその ARPA を念頭に置いてください。

収益リテンションチャート 2

B2C 企業がネットリテンション率を高く保つのは難しいことです。 B2C(ARPA が月 25 ドル未満の企業)では、チャーンが高くエクスパンションが低くなります。個人顧客による衝動的な購入が多いためチャーンは高くなり、アップセルやクロスセルの機会が少ないためエクスパンションは低くなります。ARPA が月 25 ドル未満の SaaS 企業でネットリテンションが 100% を超えるのは、わずか 2% です。対照的に B2B SaaS では、ネットリテンションが 100% 近辺かそれ以上であることが当たり前とされます。ARPA が月 1,000 ドルを超える SaaS 企業では、ほぼ半数がネットリテンション 100% 超です。

B2B 収益リテンションチャート

B2B SaaS のベストインクラスのネット収益リテンションは 110〜125% のレンジです。 ARPA が高い企業は、プロダクトのアップセルやクロスセルをはるかに多く実現できます。当社の分析では、ARPA が月 1,000 ドルを超える SaaS 企業の新規収益の 40% がエクスパンション由来です。このエクスパンション収益がネットリテンションを押し上げます。多くの B2B SaaS 企業は、古典的な「ランド・アンド・エクスパンド」戦略を採っています。

収益リテンションチャート 3

リテンションは ARR とどう相関するのか

事業の初期段階では顧客リテンションは低く、成長してプロダクトマーケットフィットを見つけるにつれて改善します。 どのステージでも、ベストインクラスの顧客リテンション率は 80% 前後です。また、ARR 30 万ドル未満のスタートアップでは、顧客リテンションのばらつきが大きい点にも注目してください。アーリーステージで強いプロダクトマーケットフィットを実感できるスタートアップは、ごく一部しかないためです。ARR レンジが上がるにつれて、その差が縮まっていくのが見て取れます。

顧客リテンションチャート

「良い」顧客リテンションの定義は、誰に売っているか(消費者、SMB、エンタープライズ)に大きく左右されます。 B2B 企業の顧客リテンション率は、B2C 企業より高くなることが多いです。ARPA が月 1,000 ドルを超える企業の上位四分位の顧客リテンション率は 85.8% です。対照的に、ARPA が月 25 ドル未満の企業では、上位四分位でもわずか 64.7% です。これは想定どおりです。B2B 企業は取引規模が大きく、営業サイクルが長く、意思決定もおおむねより情報に基づくため、顧客リテンションは高くなります。

顧客リテンションチャート 2

B2B SaaS のベストインクラスの顧客リテンションは 90% です。 ベストインクラスの顧客リテンション率は、ARPA によって変わります。ARPA が月 25 ドル未満の企業では 75% です。アップマーケットに向かうほど、ベストインクラスの顧客リテンションは高くなります。ARPA が月 1,000 ドルを超える企業では 91.9% です。

顧客リテンションチャート 3

チャーンベンチマーク

チャーンは、顧客や収益が SaaS 事業から離れていく速さを測る指標です。チャーンは 3 つの方法で測定できます。

SaaS チャーンレートの計算式

チャーンはどの期間でも測定できますが、月次で測るのがもっとも適しています。初期段階のチャーンは、ほかの指標ではなかなか得られない素早いフィードバックをもたらします。自社プラットフォームでテストを実施すれば、その数日後から数か月後にはフィードバックを確認できます。

ネットチャーン率はマイナスになり得ます。 既存顧客から得た MRR(エクスパンション + リアクティベーション)が、失った MRR(チャーン + コントラクション)を上回れば、ネット MRR チャーン率はマイナスになります。ネット MRR チャーンがマイナスの状態は、SaaS における理想郷のようなものです。月を追うごとに、既存のサブスクライバー基盤の価値がますます高まっていくからです。

2023 年の良いチャーン率とは

SaaS チャーンベンチマーク SaaS チャーンベンチマーク

ネガティブチャーンはどれくらい一般的なのか

初期段階のチャーンは高くなります。 スケールし、ICP を絞り込んでいくにつれて、チャーンは下がります。SaaS 企業は、ネット MRR チャーン率をマイナスにすることを目標にすべきです。月次のネット MRR チャーン率は会社づくりの初期段階では高く、成長とともに下がっていきます。ベストクラスと見なされるには、ネットチャーンがマイナス(つまりネット MRR チャーン率が <0%)である必要があります。

MRR チャーンチャート

ARR 1,500 万〜3,000 万ドルのレンジの SaaS 企業では、40% がネガティブチャーンを実現しています。 どうすれば自社でネガティブチャーンを実現できるのでしょうか。答えは、エクスパンションループを内包する価格モデルをつくることです。ネガティブチャーンに到達する持続可能な方法は、これしかありません。何をしても、顧客は必ずチャーンします。だからこそ、残ってくれる顧客から収益を伸ばす方法を見つける必要があります。

ネガティブチャーンチャート
Olga Berezovsky
In analytics, it’s up to you and your team to agree on which metrics you want to track. But the key is to track them consistently using the same definitions and analytics. It will help you to notice any month-over-month or year-over-year changes and how your product and marketing initiatives correlate to that.
Olga Berezovsky、MyFitnessPal シニアマネージャー、Data Analysis Journal 執筆者

チャーンは B2B と B2C で違うのか

ARPA が 1,000 ドルを超える企業は、平均でネガティブチャーンを実現しています。 ARPA が高いほど、月次のネット MRR チャーン率は低くなります。ARPA が高い企業ではグロスチャーンが低く、エクスパンション収益が大きいためです。

MRR チャーンチャート 2

月次 ARPA が 1,000 ドルを超える企業では、47% がネット MRR チャーン率をマイナスにしています。 ARPA が高いレンジでは、エクスパンションが大きな収益をもたらし始め、それがネガティブチャーンにつながります。その影響はきわめて大きく、ARPA が高い層ではネットチャーンがマイナスであることが例外ではなく標準になっています。ARPA が月 1,000 ドルを超える企業の 47% は、ネットチャーンがマイナスです。

ネガティブチャーンチャート 2

企業がプロダクトマーケットフィットを見つけて成長するにつれ、顧客チャーン率の中央値はまず下がり、その後は月 3〜4% で安定します。 顧客チャーン率を月 1〜2% まで下げられているなら、すでに全 SaaS 企業の上位 25% に入っています。チャーンをさらに下げることに注力するより、もっと差し迫った課題に取り組むべきかもしれません。

顧客チャーンチャート(ARR 別)

ARPA が高いほど、顧客チャーン率は低くなります。 優れた企業は、顧客チャーン率を月 2% 未満に抑えることを目標にすべきです。ARPA が上がるにつれて、この水準は <1% まで下がります。

顧客チャーンチャート(ARPA 別)

ARR ムーブメントのベンチマーク

ARR は毎日動きます。顧客の登録、アップグレード、解約、ダウングレードといった、その下で起きているあらゆる動きがあるからです。ARR ムーブメントは次のように分解できます。

  1. 獲得 ARR の構成要素
    • 新規ビジネス
    • エクスパンション
    • リアクティベーション
  2. 喪失 ARR の構成要素
    • コントラクション
    • チャーン
MRR の内訳チャート

ARR を構成要素に分解すると、事業について有益な示唆が得られます。たとえば、増えた ARR のうちエクスパンション由来と新規ビジネス由来がそれぞれどれくらいの割合かを知ることは役に立ちます。

収益のどれくらいがエクスパンション由来なのか

ARR が大きいほど、収益に占めるエクスパンション由来の割合は高くなります。 大半の企業では、増えた ARR のうち最大の割合を新規ビジネス ARR が占めます。スケール段階に入ると、エクスパンションの寄与が高まり始めます。ARR 1,500 万〜3,000 万ドルのレンジの SaaS 企業では、増えた収益の 36% がエクスパンション由来です。既存顧客へのアップセルやクロスセルをしていないなら、重要な成長機会を逃していることになります。

ARR の内訳チャート

ARPA が高い企業では、獲得 ARR 全体の 40% をエクスパンションが占めます。 エクスパンションの寄与が大きいのは良いことです。既存顧客へのアップセルやクロスセルの力を示しています。ただし、新規収益の大半がエクスパンション由来であれば、それは危険信号だと心得てください。主要市場が飽和しつつある兆しです。また、B2C 企業(ARPA <25 ドル/月)ではリアクティベーションが高い点にも注目してください。これは B2C 企業における割引と、うまく運用されたリアクティベーションキャンペーンの結果です。

ARR の内訳チャート 2

チャーンで失われる収益はどれくらいか

喪失 ARR の大半はチャーンによるものですが、スケールするにつれてコントラクションの管理がより重要になります。 ARR 100 万ドル超の企業では、喪失 ARR のおよそ 70% がチャーン、30% がコントラクションによるものです。

喪失 ARR チャート

ARPA が高い企業では、喪失 ARR の 40% をコントラクションが占めます。 どの ARPA レンジでも喪失 ARR の最大の要因はチャーンですが、ARPA が高くなるとコントラクションが効いてきます。喪失 ARR 全体の 40% に達することもあります。

喪失 ARR チャート 2

方法論と用語

すべての集計値は、ChartMogul の匿名化・集計済みデータを分析して算出しました。特に記載がない限り、集計値は 2023 年 3 月までの 12 か月を対象に算出しています。対象は、その 12 か月を通じてアクティブだった企業のみです。

月次 ARPA レンジ別の集計値はすべて、ARR 30 万ドル未満の企業を除外しています。

用語集

ACV:Annual Contract Value(年間契約額)

ARPA:Average Revenue per Account(アカウント当たり平均収益)=(総収益 / 顧客総数)

ASP:Average Sale Price(平均販売価格)=(新規ビジネス MRR 合計 / 獲得顧客総数)

ARR:Annual Run Rate(年間ランレート、MRR x 12)

B2B:Business to Business(企業間取引、通常 ARPA >25 ドル/月)

B2C:Business to Consumer(企業から消費者への取引、通常 ARPA <25 ドル/月)

GRR:Gross Retention Rate(グロスリテンション率)。Gross Dollar Retention や単に Gross Retention とも呼ばれます

MRR:Monthly Recurring Revenue(月次経常収益)

NRR:Net Retention Rate(ネットリテンション率)。Net Dollar Retention や単に Net Retention とも呼ばれます

New Biz:New Business(新規ビジネス)

PMF:Product-Market Fit(プロダクトマーケットフィット)

SMB:Small and Medium Business(中小企業)

YOY:Year-over-Year(前年同期比)

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