Customer Acquisition Cost(CAC)は、新規有料顧客を1社獲得するためにかかる平均コストです。対象期間の営業・マーケティング支出の総額を、同じ期間に獲得した新規顧客数で割って算出します。「フルコスト」のCACには、広告費だけでなく、給与、コミッション、ツール費用も含まれます。
Customer Acquisition Cost(CAC)とは
Customer Acquisition Cost(CAC)は、新規有料顧客を1社獲得するために企業が営業・マーケティングに費やす平均額です。SaaSにおいてもっとも基本的な効率指標のひとつで、CACペイバック期間やLTV:CACなど、他のあらゆる獲得効率の指標がこの上に成り立っています。
CACの計算式
言い換えると:CACは、対象期間の営業・マーケティング支出の総額を、同じ期間に獲得した新規顧客数で割ったものです。
例
ある企業が四半期に9万ドルを営業・マーケティングに費やしたとします。給与、コミッション、広告費、ツール費用を合計したものです。同じ四半期に、この企業は新規顧客を60社獲得しました。
CAC = 9万ドル / 60 = 1,500ドル
この企業は、その四半期に新規顧客を1社獲得するのに平均1,500ドルかかったことになります。
CACに実際に何が含まれるのか
式自体はシンプルですが、何を「営業・マーケティング支出」に数えるかは企業によって大きく異なり、CACの数字を比較するときにもっとも大きな混乱の原因になります。
フルコストのCACにはすべてが含まれます。営業・マーケティングの給与とコミッション、広告や有料メディアの支出、ツールやソフトウェアのコスト、イベントやカンファレンスの費用を合計し、獲得した新規顧客数で割ります。見栄えは良くありませんが、より正確な数字です。
有料メディアのみのCACは広告費だけを数え、給与などの間接費はまったく無視します。計算は簡単で、特定チャネル単体の生の効率を切り出すのに便利ですが、同じ事業であっても、フルコストのCACより必ず小さく、時には劇的に小さく出ます。
どちらの定義も間違いではありませんが、互換性はありません。有料メディアのみのCACをもとに組んだ回収期間やLTV:CAC比率は、正しくフルコストの数字で計算した場合よりはるかに健全に見えてしまいます。CACの数字を自社のものやベンチマークと比較する前に、必ずその背後にある定義を確認しましょう。
CACだけでは不十分な理由
CACはいくら使ったかを教えてくれますが、その支出が見合っていたかどうかは何も教えてくれません。3,000ドルのCACは、その顧客が対価としてどれだけの価値を持つかによって、優れた数字にも悪い数字にもなりえます。
だからこそCACは、ほぼ常に2つ目の指標と組み合わせて使われます。
- CACペイバック期間 は、CACをタイムラインに変換します。その3,000ドルを粗利率から回収するまで、何か月かかるでしょうか。
- LTV:CAC比率 は、CACを総合的な生涯価値と比較します。その顧客は、獲得コストの何倍もの価値があるのか、それともわずかに上回る程度なのか。
ARPAとリテンションが一緒に上がっているなら、CACの上昇は必ずしも悪い知らせではありません。もっとも良い、もっとも長く定着してくれる顧客をもたらしていたチャネルへの支出を削った結果なら、CACの低下も必ずしも良い知らせではありません。CACは入力であり、ペイバックとLTV:CACは、その入力が見合っていたかどうかを判断する物差しです。
CACを下げる方法
- ファネルの転換率を改善する。 訪問者からトライアル、有料契約までのファネルがより最適化されるほど、同じマーケティング支出がより効率的に転換します。
- チャネルの構成を見直す。 一部の獲得チャネルは構造的に他より安価です。リファラルや口コミによる成長は、通常、有料広告よりはるかに低いCACで済みます。
- 営業の生産性を高める。 営業主導の事業では、より効率的な営業プロセス(営業サイクルの短縮、リード選別の改善)がCACに組み込まれた人件費を下げます。
- リテンションを起点とした紹介に投資する。 満足した既存顧客が新規顧客を紹介してくれれば、冷たい獲得チャネルのごく一部のコストでビジネスを獲得できます。