ASPとは
SaaSにおけるAverage Sale Price(ASP)は、新規顧客が初めて有料サブスクリプションに移行したときに支払う平均価格を指します。ある時点における全サブスクライバーの平均支払額を指すAverage Revenue Per Account(ARPA)とは別の指標です。
ASPは月ごとに大きく変動しうるため、営業チームが取引規模を伸ばせているかを測る指標として価値があります。また、顧客生涯価値(LTV)が今後伸びるか落ちるかを早期に示すサインにもなります。
ASPの計算方法
ASPは、新規顧客が初めて有料サブスクリプションに移行したその時点で支払う平均価格です。その後のアカウントの拡大や縮小は対象外とします。
ASPを計算するには、対象期間のNew Business MRRの合計を、同じ期間に初めて契約した顧客数で割ります。
例
5月に新規顧客を10社獲得したとします。
- 3社がGoldプランを100ドルで購入
- 7社がSilverプランを50ドルで購入
新規顧客からの売上合計は650ドル。これを同じ期間の新規顧客数10で割ります。Average Sale Priceは65ドルです。
ASPをトラッキングする
ASPのトラッキングは、営業パフォーマンス、価格設定の有効性、顧客行動を理解するうえで欠かせません。ASP単体でも大枠を示す指標になりますが、次のような切り口でセグメント化すると価値が高まります。
- サブスクリプションプラン(価格帯ごとのASPを比較するなど)
- 地域(北米とヨーロッパのASPの差など)
- 販売チャネル(セルフサーブとセールス主導のサインアップのASPなど)
- 顧客セグメント(スタートアップ、ミッドマーケット、エンタープライズなど)
規模の大きいSaaS企業では、営業チームやアカウントマネージャー単位でASPをセグメント化することで、パフォーマンスの差が見え、営業戦略と価格戦略の最適化にもつながります。
営業ファネル別にASPをセグメント化する
下のチャートは、セルフサーブファネル(シアン)とセールス主導ファネル(黒)という2つの営業ファネルについて、ASPの推移を示したものです。
この例では、期間全体を通じてセールス主導ファネルのASPがセルフサーブファネルを大きく上回っています。
このチャートからは、初回購入に営業担当が関与した場合、顧客が自力で購入した場合よりも平均販売価格が明確に高くなることが読み取れます。
地域別にASPをセグメント化する
ChartMogulなら、見たい地域や比較したい地域を選ぶだけで営業リージョンをすばやく定義できます。
地域ごとのASPを把握しておくと、チームに対して妥当な営業目標を設定できます。
たとえば営業チームが2つあり、1つは米国、もう1つはEMEA地域を担当しているとします。ASPを地域別にセグメント化すれば、それぞれの平均販売価格がわかります。
過去の傾向として北米のASPがEMEAより大幅に高いのであれば、営業目標にもそれを反映させるべきです。
Average Sale Priceはなぜ重要なのか
Average Sale Priceは、新規サブスクライバーの平均取引規模を引き上げる取り組みを測るのに役立ちます。顧客生涯価値(LTV)が将来的に上がるか下がるかを早期に示してくれます。
Sara Archer, VP of Sales, ChartMogul Everyone wants to close big deals, and it's admirable to want to have a higher ASP. However, set your eye on the right prize: faster MRR/ARR growth. Don't overindex for going upmarket too much; rather, I suggest to ensure you are increasing your ASP at the right clip. You want high value customers that you can retain with just-right pricing. If your ASP is declining with good-fit customers it could signal something major going on in the competitive landscape or with negotiations.
ASPは、事業の重要領域を評価するための財務指標としても有用です。ASPを使えば次のことができます。
営業チームのパフォーマンスを評価する
ASPからは、営業チームがアップセルやクロスセルをどれだけうまく進め、取引価値を最大化できているかを測れます。ASPの上昇は営業活動がより高単価の契約を生んでいることを示し、低下は価格へのプレッシャーや交渉のまずさを示唆する可能性があります。
価格戦略の有効性を測る
価格のテストを行っているときや値上げの時期を判断するとき、ASPは価格変更が顧客をより高単価の製品へ導いているのか、逆に下位プランへ押し出しているのかを見極める助けになります。
将来の収益と成長を予測する
ASPは顧客生涯価値(LTV)が上がるか下がるかを早期に示す指標であり、SaaS企業が成長戦略を調整する手がかりになります。
広告・マーケティング費用を最適化する
地域や顧客セグメントごとのASPを理解すれば、広告予算をより効果的に配分し、価値の高い見込み客に狙いを定められます。
競合とベンチマークする
自社のASPを業界平均と比べることで、競合に対して価格が高すぎるのか安すぎるのかが見え、戦略的な調整が可能になります。
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ASPが低すぎるのはどんなときか
ASPは、SaaSビジネスが利益を出しながら成長する力を損なうときに「低すぎる」と判断されます。主なサインは次の3つです。
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顧客獲得コスト(CAC)が収益を上回っている
ASPが新規顧客の獲得コスト(CAC)を賄えるだけの水準にないと、持続的な収益を生み出すのが難しくなります。ASPが低いと回収期間が長くなり、規模を追って顧客を増やさなければならない財務的な圧力も強まります。
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顧客が常に下位プランを選んでいる
多くの顧客が中位・上位プランではなくエントリープランを選んでいるなら、価格戦略が高価格帯の提供価値をうまく伝えられていない可能性があります。これは収益のポテンシャルを狭め、全体の顧客生涯価値(LTV)を押し下げます。
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顧客獲得は増えているのに収益成長が伸びない
顧客数は増えているのに収益成長が鈍いままなら、低いASPが原因かもしれません。新規ユーザーは入ってきているものの、収益や長期的な収益性を動かすには支払額が小さすぎるということです。
低いASPを改善する方法
- 価格帯を見直し、高い価格ポイントに見合う価値を明確にする。
- 機能のバンドルを導入し、上位プランを選びやすくする。
- アップセルとクロスセルで顧客あたりの収益を伸ばす。
- より多く支払う意思のある、価値の高い顧客セグメントを狙う。