エグゼクティブサマリー
2022 年、SaaS 企業の成長にまつわる期待はすべて塗り替えられました。それ以来、新規顧客の獲得はより複雑で、時間がかかり、コストの高いものになっています。SaaS の成長についての従来の考え方は変わらなければなりません。そして経営層はいま、ネットレベニューリテンション(NRR)を 2024 年以降の成長を支えるもっとも重要な指標と見ています。本レポートでは、2,500 社を超える SaaS 企業の最新の NRR トレンドを掘り下げ、この SaaS の新しい時代にふさわしい、達成可能な成長期待値の設定をお手伝いします。
調査から浮かび上がったインサイトは、次の 6 つです。
- 新規ビジネスの急激な減速は、SaaS 市場の鈍化を招いた大きな要因でした。新規獲得が難しい競争環境という新しい現実に、企業はいま向き合っています。焦点は既存顧客へと移らなければなりません。
- リテンションはいま、長期的で持続可能な成長に欠かせません。2024 年、ARR 1,500 万〜3,000 万ドル超の企業では、成長の 40% がエクスパンションによって生み出されています。成長がピークを迎えた 2021 年初めの 30% と比べての数字です。この傾向は NRR の高い企業でとくに顕著で、成長を維持するには戦略の調整が必要であることを示しています。
- NRR 100% 超の達成は、すべての ARR セグメントで難しくなっています。上位四分位と上位デシルのいずれでも、NRR 100% は緩やかに低下しています。新規ビジネスの減速は NRR にも影響するため、NRR 100% を目指すうえでは両者のバランスをとることが欠かせません。
- NRR 100% 以上の企業の中央値は前年同期比 48% で成長し、NRR がそれより低いレンジの SaaS 企業の 2 倍の速さです。NRR が低い(60% 未満)企業でも、上位四分位なら急成長は可能です。こうした数字は B2C 企業に当てはまることが多いものの、大きな市場と相当なサブスクライバー基盤を持つ一部の B2B 企業も同様のパターンを示しています。
- NRR は ARR と ARPA だけでなく、サブスクライバー数にも左右されます。サブスクライバー数が増えるほど、NRR 100% への到達は難しくなります。2024 年上半期、サブスクライバー 1,500 人以下の上位四分位企業は NRR 100% を達成しました。対照的に、サブスクライバー 12,000 人超の企業の NRR は一般に 76% です。
- それでも SaaS 企業は、サブスクライバー基盤の大きさにかかわらず、似たような成長率に落ち着く傾向があります。規模が大きくなるほど NRR 100% 超を達成できる企業は少なくなりますが、この理想的な水準を追い求めることは成長の要であり続けます。会社の規模が拡大するにつれ、リテンション戦略に注力することがいかに重要かを物語っています。
本レポートは、同僚たちの協力なしには実現しませんでした。このレポートを形にしてくれた Bianca、Koen、Ingmar、Rachel、Thomas に、あらためて感謝します。
敬具
Sofia Faustino
2019 年以降、SaaS はどう変わったか
低下する ARR 成長率
SaaS 企業は 2020 年半ばから 2021 年にかけて、成長のブームを経験しました。
2020〜2021 年の SaaS ブームを牽引したのは、新規ビジネス獲得の急増でした。パンデミックによって世界中の人々があらゆるデジタル技術を一気に導入せざるを得なくなったことが、その一因です。パンデミック下では、米国、英国、EU が景気後退を恐れて利下げを実施しました。資金は安く、購買力は押し上げられました。
これは SaaS 企業にとって絶好の条件でした。企業はこの機を捉えて顧客獲得に投資し、かつてない勢いで経常収益を伸ばしました。SaaS のバリュエーションもその成長に見合って、おそらく行き過ぎた水準まで上昇しました。
しかし 2021 年後半、新規ビジネスが鈍り始めると成長バブルは弾けました。やがて成長は業界全体で急落し、ARR のレンジを問わずすべての SaaS 企業が影響を受けることになります。
2021 年に始まった減速は、とくにパフォーマンスの高い SaaS 企業で顕著ですが、影響は全体に及びました。2024 年に入り、とりわけ ARR 100 万〜3,000 万ドル超の企業では、安定化の兆しが見え始めています。
2024 has seen the industry stabilize, with a return to reliable yet modest growth. The legacy of 2022-2023 is an industry that is now leaner and more efficient. Truly great SaaS companies continue to do very well, while companies who were dependent on cheap capital have had to make dramatic adjustments. In some ways I prefer this new normal in SaaS, product innovation is king, hard work and making customers happy is rewarded, and there are just less distortions in the market, I do however miss the growth rates of the ZIRP era.
2024 年に成長は安定しましたが、SaaS が慣れ親しんでいた成長ペースからはほど遠い水準です。この減速は一時的なものではなく、SaaS 業界にとっての 新しい常態 なのかもしれません。
この 4 年間、SaaS 企業は良好な経済環境では急速に成長し、景気後退期には苦しむことを示してきました。2020〜2021 年や 2010 年代後半のような成長率をいつ(そもそも)再び目にできるのか、私たちのデータはその問いを投げかけています。
2010 年代に確立された、SaaS 企業が予測可能な収益をどう伸ばすかというモデルは、2024 年にはもう通用しません。いま業界は、SaaS の新しい常態への適応を進めています。
ベストインクラスの企業はいまも目を見張る成長率を実現し、長期的で持続可能な成長への道を歩んでいます。
ベストインクラスの企業でさえ、とりわけスタートアップは景気後退の影響を受けました。成長率は 2021 年のピークから現在までに 800 パーセントポイント低下しています。上位四分位と上位 10% のあいだの成長率の開きは縮まり、かなり近づいています。
ARR 100 万ドル超の企業では、上位デシルが 2022 年後半に過去最低の成長率を記録しましたが、その後は改善して安定しており、より成熟した事業の底堅さを示しています。
ハイパーグロースのトレンドは過去のものとなり、新しい常態を定義するより持続可能な水準へと移りました。SaaS 企業の上位 10% は依然として目を見張る成長を続けていますが、市場の競争は激しくなっています。とくに資金を求める企業にとってはそうです。VC はいまも急成長を重視しますが、同時に効率性とユニットエコノミクスにも目を向けています。成長と効率のバランスをとれる SaaS 企業のほうが、成功する可能性は高いのです。
新規ビジネスのバブル
新規ビジネスの急激な減速が、SaaS の成長鈍化を招いた主犯のひとつでした。
新規ビジネスのバブルが弾けた原因については、すでに多くのことが語られています。金利の上昇とインフレは、買い手候補に大きな打撃を与えました。2020〜2021 年の支出加速で予算は限界まで伸び切っており、景気後退への不安が新規ビジネスを鈍らせました。SaaS 市場の競争は激しくなり、厳しい経済環境のなかで資金調達はいっそう難しくなりました。
新規ビジネスは 2021 年半ばから 1 年間、急激に減速しました。2024 年には ARR 100 万ドル未満の企業が底を打ちました。より成熟した企業は新規ビジネスの成長を安定させたものの、完全な回復には至っていません。
景気後退は、SaaS のビジネスモデルの弱点を露わにしました。
2020〜2021 年の新規ビジネス争奪戦のなかで、多くの SaaS 企業は手段を選ばず成長を追い、オンボーディングが難しくリテンションはさらに難しい、相性の悪い顧客で妥協することも少なくありませんでした。予算が縮み始めると、買い手は柔軟な価格設定とより優れたソフトウェアを求めるようになります。その結果、顧客獲得のコストは上がりました。
こうした逆風の多くは 2024 年もある程度残っています。だからこそ今日 SaaS 企業が成功するには、資本効率の高い成長に注力しなければなりません。
ベストインクラスの SaaS 企業はいま、リテンションとエクスパンションに注力しています。成熟した企業は、既存顧客を優先する方向へ成長戦略を移しつつあります。
ネットレベニューリテンション(NRR)が、2024 年の鍵となる指標です。
The slowdown in new business growth forces us to rethink our balance between acquisition and retention. While we need to keep the pipeline full, the real focus has shifted to maximizing the lifetime value of every customer. It's about ensuring that our customers see continuous value, so they stay and grow with us.
成長ドライバーとしてのリテンション
長期的で効率の高い成長を支えるうえで、リテンションはいま欠かせません。
2021 年上半期、あらゆる ARR セグメントの企業が成長のピークを迎えました。それを支えたのは新規顧客の獲得です。しかしこの 3 年間、企業の成長のかたちはエクスパンションへの依存を大きく強めてきました。
従業員数も顧客基盤も大きい企業は、自然とリテンションを重視するようになります。しかし今日、リテンションは重点領域であるだけでなく、成長ドライバーそのものです。ARR 1,500 万〜3,000 万ドル超の企業では、エクスパンションが成長の最大 40% を占めています。ARR の多くがリテンションに依存しているのですから、これを優先することは欠かせません。
なお ARR 100 万ドル未満の企業では、プロダクトマーケットフィットを見つけるために新規ビジネスが引き続き主眼となります。企業が成長するにつれ、収益成長の牽引役としてエクスパンションへの依存が高まっていきます。
In the world of Growth at Any Cost (GAAC), the #1 KPI everybody obsessed over was new business growth. But in 2024, the KPI that's going to enable your long-term growth is retention. It's not your ability to attract a new customer that matters most, but keeping them over a sustained period of time.
エクスパンションの重要性が高まるにつれ、コントラクションの管理が決定的に重要になります。
ARR の損失、つまりチャーンとコントラクションを見ると、2021 年から 2024 年にかけての変化が見えてきます。エクスパンションへの依存が強まると、ダウングレードが失われる ARR の大きな要因になります。
失われた ARR に対するチャーンの寄与も、ARR 300 万ドル未満の企業では高まっています。2020〜2021 年の成長と、その後の芳しくない経済環境が重なった結果です。
今日の SaaS を動かすのはリテンション
ARR 別の NRR ベンチマーク
NRR 100% 以上の達成は、今日ではすべての ARR レンジで難しくなっています。
NRR 100% を超えることは SaaS における理想郷とされ、とくに ARR 100 万ドルの節目を越えたあとは成長を確かなものにします。一般に、企業が収益を伸ばすと NRR も改善する傾向があります。しかし 100% の壁を越えられるのはたいていベストインクラスの SaaS 企業に限られ、それを維持するのも簡単ではありません。
2021 年に NRR 100% 以上に届いたものの、その後 100% を下回ってしまったとしても、それはあなただけではありません。ARR 1,500 万〜3,000 万ドル超の企業でも、上位四分位ですら 2024 年にこの節目には届きませんでした。
とはいえ NRR が重点から外れたわけではありません。とくに新規ビジネスが伸び悩むなか、NRR は 2024 年も主要な成長ドライバーです。ただし強い NRR を長く保つには、顧客リテンションと新規ビジネスの両方にある程度のバランスが必要です。
NRR 100% 以上であっても永遠の成長が約束されるわけではありません。新規顧客は、利用を広げてオンボーディングを終えていく在籍 1 年目にもっともエクスパンションしやすい傾向があります。逆にチャーンは 2 年目に増えがちです。新規ビジネスが大きく鈍ると、エクスパンションも遅れ、リテンションは自然と目減りしていきます。こうした状況では、かつて NRR 100% 以上だった企業でも NRR は悪化します。
To work towards achieving NRR over 100% in 2024, a SaaS business must excel in finding good-fit customers, ensuring seamless onboarding, and deeply understanding what makes its product indispensable. It's crucial to closely monitor KPIs that reflect the value customers derive from the product and continually work to close any gaps that emerge. SaaS leaders should have always prioritized these steps, but in the current market, failing to do so will hurt retention more than before.
上位デシルでは NRR が低下しましたが、大半の ARR セグメントでは 100% を上回っています。
ARR 30 万ドル超のベストインクラスの SaaS 企業は、NRR 100% という目標に到達し、それを上回り続けています。ただしその数値は 2022 年以降低下しており、SaaS 事業の上位 10% でさえリテンションの難しさに直面していることがうかがえます。
ARPA 別の NRR ベンチマーク
ARPA 500 ドル以上の上位四分位は、いまも NRR 100% 以上を達成しています。
ARPA のレンジ別に NRR を見ると、2024 年に NRR 100% 以上を達成できているのは、ARPA の高いセグメントの上位四分位だけだとわかります。対照的に ARPA 25〜500 ドルの企業では、NRR 100% 以上への到達は難しくなっています。
ARPA の成長は、既存顧客への上位プランや追加サービスのアップセルによって生まれることが多いものです。顧客がアップグレードしているなら、プロダクトにより多くの価値を見出しているということであり、それは高い NRR と相関します。
ARR でセグメント分けすれば、自社の SaaS 事業の発展段階に応じた現実的な目標を設定できます。会社が成熟するにつれ、エクスパンションとリテンションの取り組みによって ARPA も改善し、結果として NRR も上向く傾向があります。
ただし常にそうとは限りません。NRR が低くても速く成長できる企業もあります。
NRR は成長にどう影響するか
NRR 100% 以上の企業は、2 倍の速さで成長します。
NRR が 100% を超えることがなぜ理想なのかを理解するには、それが成長にどう影響するのかを知る必要があります。
2024 年上半期、NRR 100% 以上の企業の中央値は前年同期比 48% で成長しました。NRR 100% 未満の SaaS 企業の 2 倍を超える速さです。NRR 100% 以上と高い成長がそろっているなら、それは真のプロダクトマーケットフィットを見つけた優れたプロダクトの証かもしれません。
NRR 60% 未満の企業の上位四分位が、前年同期比 50% の成長に届くのはなぜでしょうか。以前は、このセグメントには巨大な獲得可能市場と速い普及を持つ B2C 企業が多く含まれ、リテンションが低くても爆発的な成長が生まれているのだろうと考えていました。それは部分的には正しいのですが、NRR の低いバケットには B2B 企業もいくつか見つかりました。
Our market is constrained in size and we can't afford to burn money chasing growth at all costs. We very carefully service the customers in our niche (we deliver email for web hosting providers) and the best measure of how well we are succeeding at that goal is NRR. Prior to 2022, growth at all costs was the mantra in SaaS. Today, NRR is nearly as significant as growth in determining a company's valuation.
B2B における NRR
NRR 60% 未満の B2B 企業の上位四分位は、B2C 企業に似た特徴を持っています。
B2B で絞り込むと(詳しくは調査手法を参照)、データは前のグラフとよく似たパターンを描きます。B2B 企業のなかにも、大きな市場を狙いながら手頃なベーシックプランを提供し、B2C に近い特性を持つところがあるのです。
こうしたタイプの企業にとって、NRR 100% への到達は現実的なのでしょうか。データが示しているのは、NRR の水準が ARPA や ARR だけでなく、サブスクライバー数とその成長といった企業のほかの特性にも左右されるということです。
NRR レンジ別の MRR ムーブメント
NRR 100% 以上の企業では、エクスパンションが収益の半分以上を占めます。
NRR 100% 以上の企業は、収益の半分以上を占めるエクスパンションに成長を依存しています。対照的に NRR の低いレンジの企業は、成長のうち 70% を新規ビジネスに頼り、エクスパンションはわずか 15% です。その成長で鍵を握っているのは顧客獲得です。
再開(リアクティベーション)の構成比も、NRR が改善するにつれて下がります。自社の数値が NRR の低いバケットに近いなら、再開に力を入れることで成長を押し上げられるかもしれません。
NRR レンジ別の顧客チャーンレート
NRR 60% 未満の企業のチャーンは、2 倍です。
NRR の低いレンジの企業のチャーンは中央値で 7%、NRR 100% 以上の企業の 2 倍です。ただし同じ NRR バケットの上位四分位企業は、より速く成長しています。こうした企業は新規ビジネスへの依存が大きく、一般に新規ビジネスが多ければチャーンも多くなります。
NRR レンジ別のサブスクライバー数と成長
サブスクライバーの高い成長と NRR 100% 以上がそろっていることは、真のプロダクトマーケットフィットの証です。
NRR 100% 以上の企業の上位四分位はサブスクライバーを約 2,600 人抱え、前年同期比 40% で増やしています。これはすべての NRR レンジのほかの企業より速いペースです。サブスクライバーの成長率が非常に高く、かつ NRR 100% 以上なら、優れたプロダクトを持ち、理想的顧客ペルソナ(ICP)が誰なのかを正確に理解できている証と言えます。
対照的に、NRR の低いレンジの上位四分位企業はサブスクライバーを 30% 増やしていますが、その数は 13,000 人近くにのぼります。顧客基盤の規模を考えれば、これは非常に高い成長率です。自社がこのカテゴリーに当てはまり、加えて ARR 成長率も非常に高いなら、ICP が誰なのかをきちんと把握できている可能性が高いでしょう。結局のところデータは、NRR とサブスクライバー数のあいだに関係があることを示しているのです。
At Custify, we've seen that companies with high NRR tend to have fewer clients overall, but they achieve a high rate of subscriber growth. For example, one of our customers boosted their NRR by 15% last year. Even without adding many new customers, they managed to grow their base revenue by 30% through expansion within their existing accounts. Companies with a high NRR have found a way to be indispensable to their customers, and that is where the magic happens.
NRR とサブスクライバー数
SaaS 企業がサブスクライバー基盤を広げるにつれ、NRR は下がる傾向があります。
NRR 100% 以上はより高い成長につながりますが、サブスクライバー数が増えるほど、この水準への到達は難しくなるようです。
サブスクライバー数が増えると顧客基盤は多様化し、すべての顧客のニーズに応えることは難しくなります。非常に大きな顧客基盤を維持し続けるには、リテンション戦略と価格モデルの転換が必要です。
成長率とサブスクライバー数
サブスクライバー数が成長率に与える影響は、ほとんどないようです。
サブスクライバー数が多く、おそらく NRR が低いことは、成長率の低さには結びついていません。規模を問わず、どの企業も比較的似た成長率を実現できます。上位四分位ではばらつきが大きくなりますが、それでもすべてのセグメントで比較的近い水準にとどまっています。
サブスクライバー 12,000 人超の企業のうち、NRR 100% 以上に届くのはわずか 6% です。
企業が ARR を伸ばすと、通常 NRR も改善します。NRR 100% 以上は、より高いリテンションと成長をもたらします。しかしサブスクライバー基盤が大きく育つと、NRR は下がり始めることがあります。それでも力強い成長は実現できるかもしれませんが、新規ビジネスに頼りすぎている企業は景気後退に弱いことを歴史が示しています。こうした企業にとって NRR 100% 以上への到達は難しい挑戦ですが、持続可能な成長と、厳しい経済環境を乗り切る強靭さのためには欠かせません。
調査手法と用語集
本レポートの分析は 2024 年 7 月から 8 月にかけて実施しました。すべての集計値は、ChartMogul の匿名化・集計済みデータを分析して算出しています。
ベンチマーク分析では、2021 年から 2024 年までの上半期データを使用しました。2024 年上半期を、同じ時期どうしで比較するためです。また 2021 年上半期は SaaS 成長のピークだったため、現在の期間がその高成長フェーズと比べてどうなのかを見たいと考えました。
月あたり ARPA のレンジ別の集計値はすべて、ARR 30 万ドル未満の企業を除外しています。こうした初期段階の企業は ARPA も NRR も低い傾向があり、とくに最初の ARPA セグメントで結果を歪めてしまうためです。
「NRR は成長にどう影響するか」のセクションでは、ARR 100 万ドル未満の企業を除外しました。この段階の成長は通常予測が難しく、結果を歪めるおそれがあるためです。初期段階では、成長は通常 NRR によって牽引されません。ARR 100 万ドルを超えると NRR が成長の維持でより大きな役割を果たすようになり、分析上の関連性も高まります。
企業が B2B かどうかの分類には、ウェブサイトをもとに AI を使いました。その後、大きなサンプルをレビューして結果を検証し、AI の分類精度が 98% であることを確認しています。
用語集
ARPA:Average Revenue per Account(顧客あたり平均収益) =(総収益 ÷ 総顧客数)
ARR:Annual Run Rate(年間ランレート、MRR x 12)
獲得 ARR:新規ビジネス ARR、エクスパンション ARR、再開 ARR の合計
MRR:Monthly Recurring Revenue(月次経常収益)
New Biz:New Business(新規ビジネス)
サブスクライバー数:月末時点のサブスクライバー数
YoY:Year-over-Year(前年同期比)